- 床洗浄ワックス作業
- 2021.11.10 水
オフィスの床の黒ずみを清掃する方法
人が出入りする事務所の床で、段々と増えていく黒ずみ。
特に写真のような黒い線を見たことがある方は多いのではないでしょうか?
この線は「ヒールマーク」と言い、靴やイス、台車のゴムが擦れて出来てしまったキズと汚れです。この他にも床の角やスミが黒ずんだり、全体がくすんできてしまう事もあります。
この記事では、「床がピカピカになる仕組み」と「オフィスの床のメンテナンス方法」について紹介します。なお、業者に依頼せずご自身で行う場合はモップ等で擦る方法がありますが、擦った箇所のみ光沢が無くなってしまうので注意が必要です。
特に、いわゆるメラニンスポンジは簡単にいうと研磨剤と一緒ですので、汚れは落ちますが同時にWAXも剥がして擦った部分だけ白くなってしまいます。
床の種類について
一口に「床」と言っても様々な種類があり、この記事では主に次の種類を指しています。
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Pタイル
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長尺シート
Pタイル
長尺シート
これらの床は防水性が高いため掃除がしやすく、汚れが比較的落ちやすいという特徴があります。さらに、住宅用・店舗用・土足用などと用途別に分かれており、それぞれに特徴があります。また、表面はさまざまな模様が印刷されており、木目調や石目調のものなど種類も豊富です。
なお、フローリングや石材・カーペットなどは、メンテナンス方法が違いますので注意が必要です。
床の表面構造とワックスの役割
上記は床の断面図です。
ピカピカに光沢があるいわゆる「キレイな床」は、ワックスにより床の表面が均一になることで照明・太陽光などの光を均一に反射していることからできています。ワックス自体に光る成分が入っていたりするわけではありません。
さらに、ワックスには「美観維持」の他に「床材の保護」という重要な役割があります。
ワックス層が汚れたり傷ついてもなんとかなりますが、床材自体に傷がついたり汚れで染まったりした場合、もう床材を張り替えるしか選択肢が残されていません。
ワックスは日頃の歩行などで傷がついたり汚れが付着したりすることで、表面の均一さが段々と失われていきます。
ワックスの層が全て無くなって床材自体に傷が入っていく可能性は低いのですが、ワックスの層が削れていくことで光を均一に反射せず光沢が落ちていきます。
そこで登場するのがポリッシャー(床磨き機)です。
ポリッシャー
緑パッド
このポリッシャーにパッドを装着して、ワックスの層を均一にしていくのです。
パッドは研磨力の違う種類に分けられていて、緑の他、白や赤・青・黒などのパッドがあります。現場では、汚れ具合いを見てどのパッドを使うと良い仕上がりになるのかを判断して使い分けています。ここは掃除屋の腕の見せどころで、長年の経験による技術が問われます。
床のメンテナンスの方法
まずポリッシャーで黒ずんだり傷ついたワックス層まで研磨していきます。
ポリッシャーで研磨を行い、傷の浅さと深さのムラをならしていきます。さらに、洗剤を使って汚れも同時に落としていきます。
この作業を行う事で「ヒールマーク」などの汚れを除去する事ができます。
ワックスの表面を均一にする
床の清掃で重要なことは「ポリッシャーを均一に回すこと」です。
ポリッシャーの操作は奥が深く、経験の足りない職人が回すとムラが余計ひどくなってしまうことがあります。ムラがひどくなると当然仕上がりに差が出てきます。
また、ポリッシャーは円形の為、床の角やスミにはあたりません。その為手作業で擦りますがこれを省くと角がどんどん黒ずんで行きます。業者の中には時間短縮の為この工程を省いてしまっている会社もありますので注意が必要です。
清掃会社の選び方については、「良い清掃会社を見つけるポイント」の記事でまとめてありますのでご活用ください。
黒ずみのある層を含むワックスを全て除去
均一にポリッシャーを回した後は、汚水を回収して再度ワックスを塗布することで再びピカピカの床に仕上がります。しかし、清掃の都度ワックスを塗りますので次第にワックスの層が重なっていきます。
深い汚れや頑固な汚れを落とせずにワックスを塗ってしまうと、そのままワックスの層が重なり、次第に「光沢があるのに床が黒ずんでいる」といった現象が発生することがあります。この状態では、日々の清掃でいくら表面を強くこすっても黒ずみは落とせません。
ここで剥離剤という洗剤の登場です。
上記写真の色が違い過ぎて分かりづらいかと思いますが、上の黒い床はワックスと汚れが重なりすぎて出来たもので、本来の床の色は下の白い部分です。
剥離剤は床面に塗る事でワックスを溶かしてくれます。ワックスの層を全て取り除いた後は、またワックスの層をつくっていきます。ただし、ワックスの層が重なれば重なるほど作業は大変になり、作業金額が高額になります。通常の洗浄では落ちきれず(また、汚れをピンポイントで深追いするとそこだけワックスが薄くなり全体的にキレイな印象になりません)やむなく黒ずんでしまうケースは多々発生します。そのため、剥離を含めた計画的なフロアメンテナンスをお薦めしています。
この剥離洗浄の回数を減らし、よりコストを抑えられる新しい床の管理方法については、「従来のフロアメンテナンスの問題点と最新の方法」の記事で詳しく解説しています。
まとめ:床の黒ずみを除去するには計画的なメンテナンス
今回は、「Pタイル」「長尺シート」の床メンテナンスについての紹介でした。
床メンテナンスのポイントは次のとおりです。
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ワックスの表面を均一にすると床に光沢が出る
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ワックスは光沢だけでなく床材の保護のためにも重要
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ポリッシャーの操作・パッドの判別には経験と技術力が必要
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ワックス層を除去する剥離洗浄は高額になる可能性があるのでフロアメンテナンスは計画的に行う
近年はコンビニなどの床では、「セラミックタイル」といわれる床材が主流になっています。セラミックタイルは、表面が真っ平らで(だから光を均一に反射でき光沢がある)堅いためワックス管理を必要としない床材です。しかし、セラミックタイルの床材もまだ欠点があり、別のメンテナンス方法が必要となります。
床材に適切で計画的なメンテナンスをすることで、コストを抑えた状態で清潔な空間を作ることができます。
床の黒ずみがなかなか落ちずに気になる方は、ぜひご相談下さい!